日テレはなぜ負けたのか!?

「民主は200を超える勢い」
「日本の政局は二大政党制に向けて大きく歯車を動かす」
EODのみならず、あちこちでいわれていることですが、
今回の選挙、日テレ(NNN)は、出口調査の正確度競争において無残な惨敗を喫しました。
他局と共同で45万人の出口調査を行なったにもかかわらず、なぜこのようなことになったのか、少し考えてみました。



実は日テレは、短い時間だけ、「範囲をつけた予測」を出しています。
その中身は以下の通りです。
真ん中の数字が中間で、これが日テレの正式の予測になりました。
( )内は正解の数字です。


自民 188〜221〜251 (237)
民主 173〜205〜238 (177)
公明 24〜28〜30 (34)
共産 8〜8〜9 (9)
社民 2〜3〜8 (6)
保守 1〜1〜2 (4)

ごらんのように、範囲がつくと、いっそう日テレの予測が外しまくっていたことがわかります。
公明、保守は範囲を大幅に超えた数字、自民や民主も範囲のすみっこです。

この数字から、日テレが何を間違えたのか、を考えてみました。

まず考えられることは、「小選挙区の読みを間違えた」ということです。
小選挙区のみ候補者を立てた、保守新党の予測を大きく外し、
事実上、比例でしか当選の見込みがない共産党の議席は的中しています。
また、比例での票が読みやすいであろう公明党も、範囲を超えた結果になっています。
これにより、比例では比較的的中したが、(比例では民主党は予想通り大躍進でしたし)
小選挙区でかなりのトンチンカンな予測をしたことがわかるのではないでしょうか。

もう少し詳しく見ていくと、
保守新党の議席、日テレの予測では「確実なのは1、取っても2」ということになりますが、
その確実な1議席は、民主党が対立候補を立てず、共産党候補だけとの戦いとなった、
和歌山3区の二階俊博氏であろうと考えるのが自然です。
では「取っても2」の場合の、残りの1議席はどこだったのか、二階氏以外の3人の当選者の結果を見てみると

愛知9

当 海部俊樹 保前 104,075
比 岡本充功 民新 92,554


愛知10

当 江崎鉄麿 保元 107,369
比 佐藤観樹 民前 106,599


兵庫4

当 井上喜一 保前 127,330
次 高橋昭一 民新 81,909


差を考えれば、兵庫4のことだと思われますが、4万6千票もの大差です。
「取っても」と判断するのはどうもうなづけません。
さらに、残りの二つは「当選の見込みがない」と判断していることになります。
僅差の元職はまだしも、
海部さんは元総理ですし、事実として次点に1万2千票差をつけています。
そんな人を当選の見込みが「ない」と判断したのは、よほどのことでしょう。

ここで裏を返せば次点は全員民主党候補です。
つまりこれらの区は「民主党候補が当選する」と読んでいたことになります。

もっと詳しく見ていきます。
日テレが全国向けに速報を出したあと、画面はローカルに切り替わり、
NNN系列の静岡第一テレビが、静岡1〜8区の具体的な票予測を棒グラフで出していました。
それらと結果を見比べて見ます(得票数が低かった候補はここでは割愛しました)
( )内が正解の得票数です。

1区
民主候補 85,000〜100,000(74,745)
自民候補 65,000〜80,000(67,437)
無所属候補 60,000〜75,000(59,937)


2区
自民候補 115,000〜145,000(129,162)
民主候補 110,000〜140,000(107,687)

3区
自民候補 145,000〜180,000(138,508)
民主候補 70,000〜90,000(81,364)

4区
自民候補 95,000〜120,000(102,761)
民主候補 80,000〜95,000(76,865)

5区
民主候補 120,000〜150,000(137,201)
自民候補 120,000〜145,000(129,988)

6区
民主候補 160,000〜190,000(136,066)
自民候補 95,000〜120,000(100,955)

7区
無所属候補 80,000〜100,000(98,877)
民主候補 55,000〜65,000(43,779)
保守候補 55,000〜70,000(58,932)

8区
自民候補 95,000〜150,000(104,046)
民主候補 95,000〜140,000(101,484)


まず、日テレの予測のグラフが5万単位でしか目盛りがついていなかったので、
テレビ画面に定規を当てて(苦笑)予測を数値化しています。

印象深いのは、得票に範囲をつけているのに、それを下回った候補が多く出ていることです。
全部で7人いますが(太字で書かれている候補です)そのうち5人が民主党候補です。
つまり、日テレは民主党候補を過大評価していたことになります。

また、そのほかの候補もほとんどが、範囲の中〜下の得票数となっています。
範囲の上のほうだった候補者は、7区の無所属候補のみとなっています。

これらにより、日テレは、
投票率を高めに読んでしまった」と考えることができます。

よって、EODスタッフとしては、日テレが議席予測で惨敗した理由は、
投票率が上がり、小選挙区を中心に民主党が風を起こした、と考えてしまったから
という結論になったのですが、いかがでしょうか。

ただ、投票率を高く予測する材料が、どこにもない、と言うことがわからないんですよねえ・・
選挙プランナーの三浦氏のサイトでは、もしかしたら特定政党支持層の意図的な何かが?
なんてことが言及されてますが・・
出口調査の正確性はまだまだ発展途上といったところですね。

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